2019/2/8からSTEAMで正式配信が開始されているSpire Interactiveの購入型PCゲーム。国境を守る「国境警備員」として国境を通過する車両の荷物検査を行うシミュレーション!
国を警護する職員「国境警備員」の世界をゲームで再現したインディー系ゲームデベロッパーらしい斬新なアイデア、黙々と違法所持物を検査していくストイックな世界観が魅力で、今までになかった類のゲームにチャレンジしてみたい人、配信動画のネタとして利用できる面白ゲームを求めている人におすすめ。
アイデア勝負のPCゲーム!
現在PCゲームのポータルサイト「STEAM」で好評配信中の『Border Force』は、国の安全のために国境を警護する国境警備員として任務を遂行するというシチュエーションを楽しめるシミュレーションゲーム。あまりゲームに取り上げられない政治的なテーマに着目したインディーゲーム魂に溢れたPCゲーム作品だ。
国境問題に起因するテーマを取り上げた作品は本作が初かと思いきや、『Border Patrol』や『Border Officer』など、世界では意外にも複数のゲームがリリースされていることに驚く。ただそれでも人種や政策に関することをゲーム化している作品は少数派であり、本作もある意味「アイデア勝負」に走った作品と言える。
▲ゲームの舞台は国境にある警備所。プレイヤーは新人の国境警備員として任務を遂行していくことになる。
プレイヤーの使命は国境を越えようとする車両を細かく検査し、あらかじめ決められた制限事項に則って不法に持ち込まれる物を排除すること。中には可燃性の物質や爆弾など「テロ」に繋がる可能性が高い危険物も含まれるため、慎重にチェックしていく必要がある。国境警備員の日常を垣間見れるPCゲームだ。
ゲームプレイは基本一人称視点で展開。3Dグラフィックで再現されたゲーム世界は輪郭線を強調したデザインが特徴的で、アニメと3Dの中間を行く仕上がり。リアル過ぎない描写がゲームの世界観にマッチしており、独特なシミュレーション作品らしい雰囲気を醸し出している点が秀逸だ。
アップデートでアメリカ編を追加実装
ゲームにはイギリスとアメリカの2カ国が登場。最近のアップデートで追加実装されたアメリカ編に関しては、現職のトランプ大統領が就任直後から話題を振りまいてきたアメリカとメキシコの国境問題についてかなりのブラックユーモアを交えて描かれている。シニカルな視点が痛快なシナリオが展開するぞ。
なお本作には銃撃戦などのアクションシューティング要素は一切登場しない。ゲームで体験できるのは黙々と危険物や禁止物の検査と廃棄を主に行う国境警備員の日常風景であり、ドラマチックなシナリオや暴力シーンは皆無。その点で期待しているユーザーは、購入を控えた方が良いだろう。
▲かなり大雑把かつカリカチュアされているが、国境警備員の仕事ぶりを体感できるシミュレーションゲームだ。
地味なことを丁寧にこなしていくプレイが好きな人にはおすすめの作品で、大手ゲーム会社は決して手がけないであろう世界観にどっぷりと浸れる面白シミュレーションゲーム。ソロとマルチプレイに対応し、STEAMでの販売価格も1010円と手頃。
なおゲームのプレイ言語は英語のみで、日本語インターフェースおよび字幕は非実装。上官との会話シーンでミッション内容とゲームシステムに関する説明が出てくる関係上、ある程度英会話に通じていないとプレイが困難になる可能性がある。購入を検討している人はこの点に注意しておこう。
【おすすめポイント】 今日から国境警備員!
危険物は徹底排除!
『Border Force』にはイギリス編とアメリカ編という2本のシナリオが存在するが、基本的なプレイ内容はほぼ一緒。列を成している入国希望の車に搭載されている荷物を徹底的に調べ上げ、持ち込み禁止に指定されている物や危険物質を発見したら、警備所内にあるゴミ捨て場へ廃棄する。これがプレイヤーの「仕事」だ。
警備員詰所内にはモニターが設置されており、そこには持ち込み不可とされているアイテムが順次投影される。プレイヤーはこの画面を確認しつつ車両を調査。もし禁止物に該当するアイテムが搭載されていた場合には「掴む」動作で車両からアイテムを抜き取り、そのまま廃棄場所へと運んで「処理」する。
▲国境警備員詰所内の様子。ボードには一発で入国拒否する国のリストも掲示され、ブラックユーモア率は高め。
車両の通行をコントロールするのは緑と赤のボタン。検査した結果異常が見つからなかった車両は緑色のボタンを押すことで国境を超えて通行可能になり、危険物質や禁止物が見つかった車両は赤いボタンを押すことで国境超えを諦めて引き返していく。プレイ中この作業を繰り返し行うことでミッションクリアとなる。
▲「国の安全を守る立場にある」と思いながらプレイすると身が引き締まる。ロールプレイも捗るPCゲームだ。
なお詰所内には入国が制限されている国や一発退去にしても良い車両のナンバー情報が「ウォッチリスト(要注意リスト)」として掲示されているので、プレイ中はこれらのサブ情報も活用しながらチェックを進めていこう。通過する車両は必ずID(パスポート)を提示するため、どの国籍の車両かすぐに分かるぞ。
ブラックユーモアが効いた作品
本作のミッションは日毎に内容が変化し、一発退去にする国名なども随時変わっていく。ゲーム内で起こる架空の係争問題とは言え、国籍によって入国拒否するというシチュエーションが発生すること自体驚きだが、あまり深く考えずに「任務のうち」という感覚でプレイすれば、モヤモヤした気分にはならないだろう。
▲危険な物質や持ち込み禁止の密輸品を所持していないか。車両内部を徹底的に調べ上げて判断を下そう。
政治ネタを含めたブラックユーモアを解する人にはおすすめの作品で、プレイすることによって先進国の相関関係や国際的な立場をシニカルな視点で眺めることができる。友好国と対立国、未だに仲良くなれない世界各国の関係性について考えながらプレイを続けていくのも一興だ。
【おすすめポイント】 色々な意味で考えさせられるPCゲーム!
変化が楽しみなPCゲーム
イギリスの国境警備員を描く作品として登場した『Border Force』は、アップデートによってアメリカ編のシナリオを追加。このアメリカ編では4輪バイクを使用したミニレース的なミッションが追加されるなど、ゲームプレイのバリエーションに幅が増え、結果としてゲーム全体の面白さが増している。
▲新人研修の一環として仲間の警備員と一緒にレース。1位を目指してコースをひたすら突き進む。
STEAM上では熱心なユーザーが「自分の意見を採用してほしい」と嘆願するなど、一定数の熱狂的なファンを持つ本作は、開発元であるSpire Interactiveの努力次第ではさらなるコンテンツ拡張が見込まれる可能性もある。現時点ではかなりストイックな作品だが、今後のアップデートによる変化が楽しみだ。
インディーゲームデベロッパーらしい着眼点が光る『Border Force』は、「ゲームにも様々な種類がある」という深い感慨に浸れるおすすめPCゲーム。凝り固まったジャンルからの脱却を目指すインディーゲームメーカーの躍進に期待しながらプレイしてもらいたい作品だ。一味違ったゲーム世界を体験してみよう!
【おすすめポイント】 変わったインディーゲームが好きな人におすすめ!
Border Forceスペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-2500K | Intel Core i7-8700K |
メモリー | 8GB RAM | 16GB RAM |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 660 | NVIDIA GeForce GTX 1060 |
VRAM | 2GB | 6GB |
HDD空き容量 | 50GB | 50GB |
DirectX | DirectX 11 | DirectX 12 |
備考 |
(C) Spire Interactive.
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