2022/2/23からSteamで早期アクセス版が配信されているDexterCodingの購入型PCゲーム。火星を探索できるマシン「ローバー」を操作しながら、資源収集などのクエストに挑戦するシミュレーションゲーム。
世界的に有名な3DCGツール「Unreal Engine 4」で開発されている高精細なゲームグラフィック、時間変化とリアルな気候変動を含む赤い惑星「火星」の再現度、地道に任務を完了していくプレイ要素が大きな魅力で、開発途上にあるインディーゲームをサポートしながら完成へと導き出したい人におすすめ!
火星探査車の世界を体験!
現在PCゲームのポータルサイト「Steam」で正式配信中の『Mars Rover Simulator』は、「Unreal Engine 4」で再現されたリアルな火星探査車両「ローバー」を操作しながら、オープンワールドの火星を走って様々な任務に挑むおすすめの新作。最新ゲームらしい3CDGを体験できるシミュレーションタイトルだ。
ゲームでは画面上に「タスク」形式のミッションが表示され、プレイヤーはその指示に従って採石をしたり、写真を撮影したりといった「調査活動」を行えるようになっている。気象条件と時間変化のあるリアルな火星で本当に任務を行っているような気分に浸れる必見のインディーゲームで、今後の開発が非常に楽しみだ。
▲「Unreal Engine 4」の本領を発揮したリアルなグラフィックで火星探査の世界を体験できる新作だ。
残念ながらゲームは現時点で様々な問題を抱えており、クエストが正常に進行できないなどのバグと不具合が多く報告されている。ユーザーから報告された現象に関しては2022/2/26のアップデートで多少改善されている模様だが、プレイをスムーズに進めたい場合には、開発進捗がさらに進むのを待ったほうが良いだろう。
なお、詳細については後述するが、本作は2021年にEpic Gamesストアで公開された3DCGのブループリント『Mars Rover Simulator』をそのまま使っている新作ゲームで、ローバーのモデリングからゲームUIまで同一。他者のアセットを利用してゲームを開発する姿勢に疑問を抱いている人は、購入を見送ったほうが良い。
Steamでの販売価格は1010円。「Unreal Engine」向けに販売されているアセットを合法的に活用して開発が進められている作品なので、オリジナリティーや価値という点で疑問符が残るが、独立したゲーム作品にするために色々と手を加えている形跡もあり、完全な「横流し」状態ではない、というところには見るべきものがある。
インターフェースは7カ国語用意されているが、残念ながら日本語インターフェース及び字幕・音声は非搭載。ミッション内容を理解しながらプレイを円滑に進めていくためには、一般的な語学力が要求される。この点をクリアできれば、火星を舞台に様々なミッションに挑戦していくプレイを満喫できるだろう。
▲現時点では借り物でゲームを作っている段階の作品。今後のオリジナリティー実装に期待したい。
ゲームは部分的ながら汎用コントローラーでの操作にも対応し、直感的な操縦を実現。また解除できるSteam実績も合計10種類用意されているので、実績ハンターの人も必見だ。ちなみにインストールサイズについては公式に発表されていないので、プレイする際には購入後に表示される容量に注意を払っておこう。
PC環境への要求スペックは中程度。推奨環境で要求されているグラフィックボードは2GB以上のVRAMを積んだ「GTX 1050」なので、ミドルスペック帯のPCを持っていれば最高設定でも十分にプレイできるはず。最低動作環境でも「GTX 750 Ti」程度となっているため、ローエンド帯のPCでも問題なく動く。
火星を探索できるマシン「ローバー」を操作しながら、資源収集などのクエストに挑戦するシミュレーションゲーム『Mars Rover Simulator』は、現在Steamストアで配信中。アセット流用のゲームだと理解して遊ぶのであれば、払った金額にも納得できるはず。興味が湧いた人は今すぐストアで情報をチェックしよう!
【おすすめポイント】 火星を探索できる新作ゲーム!
アセット活用はゲーム製作の新たなスタイルか
前述の通り、『Mars Rover Simulator』は2021年にEpic Gamesストア内で販売が開始された3DCGのブループリントをそのまま母体に持ってきた新作ゲーム。現時点でオリジナル版との差異は少なく、画面上部に表示されている方向を示すUIなどはそのまま。Steamでは最近この手法を利用したインディーゲームが多い。
他者のアセットを流用する最大の利点は「開発期間の短縮」にある。プログラムやモデルをそのまま配置するだけでゲーム世界が成立するタイプのアセットなども多く出回っているので、オリジナリティーにこだわらなければそれでも十分に「自分はゲームを作った」と言える。ここがSteamで物議を醸しているポイントだ。
Steamユーザーはゲームスタジオのオリジナリティーを尊重している向きが強く、一度アセットを流用していると発覚した場合には即「低評価」を下されて作品は見向きもされなくなる。新人、とくに将来に向けて多くの作品をリリースして地位を固めたいと考えているデベロッパーにとってこれは大きな痛手だ。
▲ゲームは一応マルチプレイにも対応予定。ただし現時点ではゲーム自体が未完成な状態なので注意。
念の為に書いておくと、転用または引用して販売することをオリジナルの作者が認めているアセットを流用した場合、それは規約違反には当たらず、犯罪行為でもない。多くの人の目に触れることを期待してロイヤリティーフリーな素材を作っている人も多く、それを他スタジオが採用することには何ら問題はない。
クレジットが記載されていないことで購入者が混乱する恐れも
Steamで問題になっているのは、アセットを流用したインディーゲームデベロッパーの多くが「原典」の存在を明記していないことで、これは「自分たちが生み出したオリジナルの作品である」と主張しているようにも捉えかねられない。クレジットの明記や説明などを一切行っていないスタジオがほとんどだ。
本作もこの点には十分に非があり、さらに悪いことにストアに掲載しているスクリーンショットまでEpic Gamesストアのものを流用している (実際には画像を左右反転して使用)。既存のブループリントを活用しながらオリジナルの作品へと昇華していくためには、こういった部分にも配慮しておく姿勢が必要だろう。
Steamストアでは現在この流用に気づいているユーザーはいないようだが、本作はゲームタイトルまでブループリントと同じものにしてしまっているので、いずれは発覚する。その場合ユーザーが離れていくのは必至なので、今のうちに「作品がどのように形成されていったのか」という経緯を発表したほうが良い。
▲既存のブループリントに手を加えたため、バグと不具合が起こってしまった可能性は否めない。
原作のブループリントはローバーが火星上を走行するシステムを完全なパッケージ状態にして販売しているので、どこかのゲームスタジオが作品を購入して少し手を加えれば、それだけでシミュレーションゲームとして販売できる状態になる。この安易な手法が昨今はインディーゲーム界隈で定着しつつある。
ゲームに対して料金を支払うユーザーがいる場合には、少なくともスタジオが手を加え、原作バージョンから進化していることを証明する必要がある。ほぼコピー品のような作品に対して対価を支払う「何も知らない善良なユーザー」の被害を防ぐためにも、インディーゲームデベロッパーは志を高く持ってほしい。
安易にゲームを作成できるアセットやブループリントの流用問題を浮き彫りにしてしまった新作『Mars Rover Simulator』は、現在Steamで配信中。プレイしたいと思っている人は、まずEpic Gamesストアにあるオリジナルのブループリントを先にチェックしてみてから判断すると良いだろう。
【おすすめポイント】 今後のオリジナリティー実装に期待!
Mars Rover Simulatorスペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-4460 | Intel Core i7-8700K |
メモリー | 8GB RAM | 16GB RAM |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 960 | NVIDIA GeForce GTX 1070 |
VRAM | 2GB | 8GB |
HDD空き容量 | 20GB | 20GB |
DirectX | DirectX 11 | DirectX 12 |
備考 |
(C) DexterCoding.
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